土作り
菜園の環境を良くする
2) マルチング
3) トンネル・ハウスによる雨よけ栽培
4) 排水対策
品種、台木の活用
輪作
太陽熱による土壌消毒
寒冷紗、不織布の利用
早期発見、早期防除
病害虫防除の具体的な対策は、各論で触れていますので、ここではできるだけ農薬に頼らない防除について紹介します。
野菜をつくる場合の土台はなんといっても土づくりです。土づくりがしっかりできていれば、家庭菜園程度の規模なら、無農薬栽培も十分可能です。これは根が健全に発達して丈夫であれば、野菜の栄養状態も優れ、病気にかかりにくくなるためで、根をしっかり張らせ長持ちさせることが病気を出さないための条件といえます。
肥料成分で病気の発生と関係の深いのが窒素です。窒素を多く施しすぎると野菜は軟弱に育ち病気にかかりやすくなります。このため堆肥等の有機物を毎年施して土を肥沃にし、化学肥料の施用量をやや少な目にするのがよいです。収量を求めるのではなく、がっしり育てることで栄養価が高く、おいしい野菜が収穫できます。
また、日本の気候は雨が多いため、石灰分が流れて土が酸性になったり、微量要素が欠乏しやすい特徴があります。このため野菜の作付けごとに石灰肥料と微量要素入り肥料(堆肥にも含まれる)を補給してやる必要があります。微量要素は人間で言えばビタミン類のようなもので、欠乏すると生理障害だけでなく病気を併発することがあります。
1) 残渣を畑にすき込まない
土壌病害は、主に連作によって病原菌が増加することにより多発生します。しかも病原菌の増加には土壌中に残る作物の残渣が原因となる場合が少なくありません。例えばカブやハクサイなどのアブラナ科野菜の根こぶ病は、畑に残った残渣をすき込むことによって年々増加します。そこで収穫するときは、根元で切り取らず、株ごと引き抜いて病根を畑から持ち出すなどの対処が必要です。できれば土の中に残った病根(こぶ)も掘り起こして持ち出します。病害の発生していない場合でも、残渣はそのまますき込まず、堆積発酵させてから畑に戻すのが好ましいでしょう。
ワラやポリフィルムで土壌表面を被覆することをマルチングといいます。マルチングをすることによって、泥はねによる病気の感染が抑えられるとともに土壌水分が安定して野菜が健全に育つことにより、病気の発生が少なくなります。また、アブラムシなどが銀色(反射光)を嫌う性質を利用した資材として、シルバーマルチがあります。
雨による湿潤な条件は、病原菌の発芽や感染を助長し、被害を拡大します。日本のように雨の多い気象条件では、ビニールで一部分を覆って、直接雨が当たらないようにしてやるだけで、病害をかなり防ぐことができます。スイカや露地メロンでは、トンネルをして株元に雨がかかるのを防いでやると、蔓の枯れ上りが少なくなりますし、トマトはハウスで栽培すると、えき病などによる葉の枯れ上りが防げ、品質も良くなります。
ほとんどの野菜は、排水の良い土壌を好みます。雨が続いて根が酸欠状態になると根が弱って病気に対する抵抗性が低下します。一方、病原菌は湿潤条件を好むものが多いので、長雨により思わぬ被害を受けることがあります。排水の悪い畑では、堆肥等を施して土を改良するとともに高うねにして栽培します。また、明渠をしっかり切って、雨水が速やかに排出されるようにすることが大切です。
病気に対して抵抗性のある品種を選びます。例えば品種名の前にYRという記号が付いていれば萎黄病に抵抗性があり、CRという記号が付いていればアブラナ科根こぶ病に抵抗性があることを示しています。
キュウリやスイカ、ナス、トマトについては、土壌病害に対する抵抗性台木に接いだ苗が市販されていますので、病気が心配される畑では接木苗を利用します。
野菜の中には連作ができるものと、できないものがあります。連作を嫌う野菜でも、接木苗を用いたり、土壌消毒を行うことで栽培は可能ですが、やはり基本は分類上、縁の遠い作物を組み合わせて輪作を行うことが最も好ましい方法です。そこで菜園を区分けし、年間作付計画を立てて栽培することをお勧めします。
7月〜8月の暑い時期を利用して土の消毒を行います。ワラか堆肥を入れ耕耘した後に細かいうね立てをし、十分かん水をして古ビニールで覆います。晴天の日が連続して10日以上続けば、地表10pくらいまでの土壌病原菌に対して、かなりの防除効果があります。
野菜の生育初期に日よけを兼ねて寒冷紗をトンネルがけしたり、保温を兼ねて不織布(タフベル、パスライト、パオパオ等)で覆うことにより、アオムシやヨトウムシ、アブラムシなどの被害を軽減することができます。最近は透光性と通気性に優れた防虫ネット(サンサンネット等)が市販されていますので利用するとよいでしょう。被覆した中に虫が入り込むとかえって被害を大きくするので、虫が付く前に覆うことが大切で、虫の入る隙間がないようきっちり覆います。キスジノミハムシなどは土の中に幼虫が残っていることがあるので、太陽熱消毒を行ってから被覆すると効果が高いです。
病害虫防除の決め手は何と言っても、早く害虫や病気を発見することです。そのためには毎日畑に出かけ、葉の裏や株元をよく観察し、虫や病気がついていないかを調べることです。例えば、トマトのえき病のように一夜で広がる病気や、かためて卵を生むハスモンヨトウなどは広がる前に見つけないと被害が大きくなります。家庭菜園では、病気や虫が付いたら、その葉を早めにかき取り、場合によっては株を引き抜いて除去すると被害を最小限で食い止めることができます。その上でなお病気がひどくなるようであれば、早めに薬剤をかけるようにしましょう。