はくさい(秋まき)
1.適応地域       県下全域(冬どりは湖南、湖東地域)
2.圃場条件 壌土〜埴壌土で排水の良い肥沃田
3.輪作体系 小麦(春夏作野菜)→はくさい→水稲(春夏作野菜)
4.目標収量 7t/10a
5.標準的な作業時間 143時間/10a(直播栽培)
6.栽培技術のポイント
 (1)基肥主力で初期生育の促進を図り、肥切れさせない。
 (2)株揃いと管理の集約化のため、なるべく移植栽培をおこなう。
 (3)台風時期の地上排水に努めるとともに、病害虫防除を徹底する。
 (4)冬どりは早まきすると完熟して裂球や腐敗球が多くなり、遅まきするとしまった球がとれないので、播種適期を守る。秋のうちに外葉を大きくつくり、7〜8分の結球で越年するようにする。
 
7.品 種 
 秋 福(日本農林) 播種後65日で収穫できる早生種。ウィルスや軟腐病
 に強く、石灰欠乏症がでにくく耐暑性も強いので早どり栽培に適する。
 大 福(東北種苗) 播種後65日で収穫できる早生種。球はやや包合した
 砲弾型で胴張りはよい。結球内部の黄色味が強く市場性は高い。 
 新理想(日本農林) 播種後80日で収穫できる中生種。頭部包頭型である
 が品質は高く市場性は高い。
 千 勝(タキイ) 播種後75日で収穫できる中生種。微量要素欠乏が出に
 くく、良質球が多収しやすいが、結球内部の品質はやや劣る。
 ほまれ(タキイ) 播種後65日で熟期になる早生種であるが、低温結球性
 や晩抽性にすぐれ、耐寒性もあるので冬どり栽培に適する。
 
作業内容
















































































































 

作業の種類

 技 術 内 容

播 種 期



 

 収穫時期 播種時期 適応品種
 10 月 8月初〜中旬 秋福、大福
 11 月 8月下旬 大福、千勝
 12 月 9月上旬 新理想、千勝
 2〜3 月 9月7〜15日 ほまれ

種子の準備

 

 播種作業や播種後の管理を考えコーティング種子を使う。
 直播栽培 4000粒
 直播栽培 10000粒














 




 

苗 床
 

 風通しの良いところに育苗ハウス(パイプハウス)をつくりサイドと出入口に寒冷紗を張って苗床にする。

播 種 床



 

 ペーパーポット8号(6×5cm)か、144穴のプラグトレイを使う。これより小さいものを使う場合は、用土は節約できるが育苗日数は短くなる)
 用土は、根こぶ病の予防のため購入培土やプラグ専用培土を使う。

播 種
 

 ポットの中央部を指で軽く押え、1粒播きにして軽く覆土する。(プラグトレイの場合はは専用の播種器を使うと便利)

播 種 後
の 管 理




 

 発芽までは水を切らさないように潅水する。発芽後は、徒長防止のため夕暮れには乾くよう潅水を調節する。
 プラグトレイはよく乾燥するので潅水に注意する。
 肥料の入った培土を使っても、播種後20日目頃から肥切れするので、育期間が長くなる場合は、この頃から潅水をかねて液肥を施用する。
 定植前には必ず病害虫防除をしておく。

 定植準備



 

 耕起は土が乾いているときに行う。粘質土壌ではなるべく高畦にし、排水溝をきちんと切って地上滞水しないようにする。 砕土後、畝幅150cmで畝立・整地する。
 根こぶ病のおそれのある圃場では、防除薬剤を散布し(全面
または作条)かるく土と混和しておく。

 定植準備












 

年内どり肥料設計例(kg/10a)










 

肥 料 名
 

全量
 

基肥
 

 追 肥

成 分 量










 
@ AB

堆 肥
苦 土 石 灰
BMようりん
BM有機1号
B入8・6・8
 合計
 

2000
120
 60
250
 60

 

2000
120
 60
120
 60

 




40


 




40


 




50


 




32
5
37
 



12
25
4
41
 




30
5
35
 
(注)基肥のB入り8・6・8は待肥で整地前に畝上に施用する。(追肥の時期は追肥の項参照)

定 植
(播 種)





 

=移植栽培=
 本葉4枚(小さいポットの場合は2〜3枚)で定植する。
 作条に粒状殺虫剤を所定量散布し、軽く土と混和しておく。 あらかじめポットに潅水して鉢土を充分湿めらしておき、40cm間隔に植付け、潅水する
=直播栽培=
 まき溝に粒状殺虫剤を施用し、軽く土と混和しておく。
 株間40cm、1ケ所3粒で点播(播種器を利用)する。

間 引 き
(直播栽培)

 1回目 本葉3〜4枚頃 2本立て
 2回目 本葉8枚頃 1本立て

追 肥





 

 =移植栽培= =直播栽培=
 第1回 定植10〜14日後 第1回間引後(本葉3〜4枚)
 第2回 定植1ケ月後 第2回間引後(本葉8枚)
 第3回 結球開始期 結球開始期
 ※ 早どりの場合は第2回目は省く。
 ※ 冬どりの場合は、12月上旬に第4回目を行う。
 (BM有機1号 40kg/10a)

中 耕 除 草

第1回と2回目の追肥時に、除草を兼ねて軽く中耕する。

台 風 対 策


 

 葉ずれで細菌病が発生しやすくなるので、台風通過後ただちに銅剤で病害予防を行う。 表土が雨にたたかれて固くしまったときは、浅く中耕する。 草勢が弱ったときは液肥や硫安の少量施用で回復をはかる。

結 束

 

 冬どりの場合は、防寒と結球促進のため、12月下旬頃に外葉を集め結球頂部をわらやビニールテープで縛る。 早く結束しすぎると生育が抑制されるので時期に注意する。

病害虫防除




















 

べと病・白斑病 ジネブ剤 400〜600倍、 ダコニール 1000倍
軟腐病・黒斑細菌病 デランK 600〜800倍 、 スターナ 1000倍
 アグリマイシン(水)1500〜3000倍
根こぶ病 PCNB剤 20〜30kg/10a
モザイク病 アブラムシの防除、適期播種、移植栽培
キスジノミハムシ ダイシストン(粒)6kg/10a 土壌混和
 ダイアジノン(乳)1000倍
コナガ オンコル(粒)6kg 播種・定植時株元施用
 トアローCT(水)1000倍
 アタブロン、ノーモルト(乳) 各2000倍
 パダン 1000倍、 各種合成ピレスロイド剤
ヨトウムシ類 ランネート 1500倍、 オルトラン 1000倍
アオムシ オルトラン、ディプテレックス 各1000倍
ネキリムシ類 カルホス(粉)4〜6kg 土壌混和
 デナポンベイト(粒)3〜6kg 株元施用
アブラムシ類 オルトラン(粒)3〜6kg 株元施用
 オルトラン、アリルメート 各1000倍

※コナガは作用機作の異なる剤をローテーション散布する。
 (例)粒剤→BT剤→IGR剤→合ピレ剤、カーバメート剤
※殺虫剤には複数の害虫に効果があることが多いので、害虫の
発生状況により使用薬剤を選定する。

収 穫



 

 結球が完了して堅くしまった物から順次収穫する。外葉を2
〜3枚残して切り、尻部をきれいに削り取る。
 県出荷規格に準じ、ダンボール箱(またはコンテナ)に詰め
る。