抑制、越冬長期穫り　ミニトマト

　

１. 品種例　　　穂木：ミニキャロル、ココ

　　　　　　　　台木：アンカーＴ、新メイト

　

２. 目標収量　　抑制栽培　　　　　5,000 kg／1,000�u

　　 　　　　 　抑制越冬長期栽培　8,000 �s／1,000�u

　

３. 栽培のポイント　

　☆抑制越冬長期栽培では収穫期間が長いので、樹勢の維持に努める｡

　☆低温寡日照期には､果実の成熟と着色促進のため､果房に日射があたるよう誘引を行う｡

　☆２本仕立てのため､側枝を利用し樹勢のバランスを保つ｡

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

４. 技術内容　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

(1) 育苗（数量は栽培面積1,000�u当たり）　　　　　　

　

　

�A 用土の準備

　　　　購入用土　　　100 ﾘｯﾄﾙ　（播種床用）

　　　　速成床土　　1,500 ﾘｯﾄﾙ

　

　　速成床土作成例　　資　材　　／　量

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　　　　　　　　　　　田　土　 　　 750 ﾘｯﾄﾙ

　　　　　　　　　　　砂　　　　 　 300 ﾘｯﾄﾙ

　　　 　　　　　　 　ピ−トモス 　 450 ﾘｯﾄﾙ

　　　　　　　　　　　苦土石灰　　　1.5 kg

　　　　　　　　　　　過燐酸石灰　 　３ kg

　　　　　　　　　　　細粒８６８　 　２ kg

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　　苦土石灰は臭化メチルで消毒・ガス抜き後に施用し、ｐＨ5.5〜6.5、ＥＣ 0.5に調整する。

�A は種　　　

　　育苗箱は穂木用９枚、台木用10枚を用意し、市販育苗培土を１箱あたり６ﾘｯﾄﾙ詰める。

　　コート種子を穂木1,100粒、台木1,200粒用意し、は種機を利用して128粒／箱、点播する。

　　発芽が揃うまでは､新聞紙で覆い、ハウス内に遮光カ−テン（遮光率60％程度）を設置する。培土の乾燥を防ぐため､発芽まで２回〜３回新聞紙が湿る程度灌水する｡　

　

�B 鉢上げ

　　12cm径ポリポットを 1,000鉢用意する。鉢上げ時期は、は種後約10日である。ポットの中央に台木を、その脇に穂木を鉢上げする。　　　

　

�B 接木（呼び接ぎ）

　　台木と穂木の茎の太さをそろえるため､育苗箱での水分等、穂木と台木に管理を同じくする。

　　子葉と本葉第１葉との間で接木を行う。穂木、台木とも45度の角度で、穂木は切り上げ、台木は切り下げる。

　　接木適期は、本葉３枚展開時である。遅れると側枝の伸長が遅れる原因となる。　

　　２本仕立てにするため、３節で摘芯し、生育の揃った側枝２本を残す。側枝のバランスを保つため、摘心は早めに行う（接木後約３日）。

　

�C 穂木脚の切断

　　接木後約７日に行う。穂木脚の切断と同時に台木の本葉を除去する｡

(2) 本ぽ準備

　　前作終了後、太陽熱消毒を施すのが望ましい。

�@ 施肥例　　　　　　　　　　　　 （kg／1,000�u）

肥　料 名	成 分	基 肥	追 肥
熟 成 堆 肥		2,000
苦 土 消 石 灰		120
有機１号 など	7-5-5	120
液　　肥	6-8-8		200

　

�A 畝立て

　

　　　　

　

　　低温期の地温確保のため､マルチングにはグリーンマルチを用いる。

　

(3) 定植

　　適期は側枝の本葉７枚時である。定植前にポットに十分かん水し、涼しい時間帯に定植作業を行う。やゝ浅植えとする。株間 50�p、裁植密度 900株／1,000�u 。

　

(4) 灌水　　

　　定植後、鉢土が乾いた段階で手灌水を行う（１株当り約0.5ﾘｯﾄﾙ ）。深根にするため、以降は灌水を控える｡

　　第５段花房開花時期から､チューブ灌水を行う。

　

(5) 誘引　　　　　　　　　　　　　　　

　　テープ誘引を行い、伸ばした２本の側枝を左右に振り　分ける。第５花房開花時ごろから斜め誘引を行う。２度目のつるおろし時（７段花房開花時）に、テープの先にカラー番線のフックをつけた誘引具等で横に吊る。

　 樹勢の維持のために､生長点を上に向ける。

　

(6)整枝　　　　　　　　　　　　　　　

　 わき芽は早い目にかき取る。作業は晴れた日に行う。

　

(7) 着果促進（ホルモン処理、交配バチ）

　 高温期及び低温期は、蜂の活動が劣るためホルモン処　理を行う。トマトトーン（高温期200倍、低温期100倍）またはトマトラン（高温期 1,000倍、低温期 500倍）。

　ホルモン処理の回数は、１花房当たり３回以内とする｡

　９月中旬から11月末まではマルハナバチを用いる。

　寡日照低温期の炭酸ガス施用は､着果数確保に有効な技術である。

　

(8) 摘葉

　　斜め誘引開始時から老化葉を随時摘除する。本葉の最低必要枚数は15枚である。

　

(9) 追肥　　　　　　　　　　　　　　　

　　第５花房開花期から、月１回程度、液肥で追肥を行う（チッソ成分で２kg／1,000�u・１回）。

　

(10)摘果

　 １果房当たりの着果数は50果までに着果制限する｡

　

(11)温度管理

　 高温による果房の乱れを防ぐため、施設内温度は35℃以下に管理する｡

　 低温期の夜温は12℃に設定し、樹勢の維持を図る。

　

(12)摘心

　 25段が目安。摘心時期は収穫終了から逆算し、60日前に行う｡

　

(13)病害虫防除、生理障害

�@ 青枯病

　　抵抗性台木（アンカーＴ等）を利用する。

　

�A 葉かび病・灰色かび病

　　湿度上昇に伴い発病する。収穫済み果房より下位の葉が混み合っている場合には、速やかに摘葉する。

　　通路の敷きワラマルチは施設内の湿度を下げるのに有効である。

　

�B 疫病

　　比較的低温で多湿な条件で発生しやすい。発生を見たら薬剤散布とともに換気に努め、発病葉をちぎり取り、　施設外に持ち出す。

　

�C オンシツコナジラミ、タバココナジラミ

　　黄色粘着板（ホリバー等）の設置は発生の初期には有効である（100枚／1,000�u）。また、コナジラミ類の発生を確認したら速やかに薬剤防除に努める。

　

�D マメハモグリバエ

　　育苗時からの寄生を防ぐため、育苗ハウスの側面を寒冷紗で被覆し、進入を抑える。

　

�E トマトサビダニ

　　ハウス周辺の除草を徹底する。発病株やハウス内の残渣は、焼却するか埋没処分する。

　

�F 裂果

　 低温期の夜間湿度の上昇が原因となる。早朝加温により湿度をさげるのは有効な防止策である。

　

　　　　　　　　　　 　　 　（住谷 一樹、池田 正彦）